なぜ減税を受けたい買主が申請できないのか?(1)

耐震基準適合証明書の申請者が売主である理由



(1)耐震基準適合証明書は二つの法律から生み出される  

(2)買主が所有者になったときにはもう遅い       


耐震基準適合証明書は二つの法律から生み出される

中古住宅の購入において、引渡日が築後20年(又は25年)超の場合、住宅ローン控除等を受けるためには耐震基準適合証明書等が必要になります。

耐震基準適合証明書の大きな特徴として、証明書の申請者が原則として売主の方でなければならないという点があります。これは買主の方にとっては納得し難いことでもあります。

住宅ローン控除や登録免許税減税を受けるのが買主の方であるにも関わらず、それに必要な手続きをする直接の権限がないのは不合理に感じてしまいます。手続きをするためには、売主の方に依頼をして耐震基準適合証明の申請を行ってもらわねばならないのですが、もし断られたりすると減税を受けられなくなってしまいます。なぜ買主の方が申請できないのかという疑問は起きて当然のことと言えるでしょう。

中古住宅購入時の類似した制度としてフラット35適合証明書がありますが、こちらは買主、売主のどちらの方も適合証明の申請が出来ますし、それぞれの仲介業者さんが申請することも可能です。違う制度とはいえ、そのギャップの大きさには誰もが驚かされます。

このギャップの理由として、耐震基準適合証明書は法律で定められた制度である点が挙げられます。さらに、その法律が二重構造になっていることもギャップを大きくしています。つまり、この制度は二つの法律から出来上がっているという点で、フラット35適合証明とは大きく違ってくるのです。

耐震基準適合証明書そのものは、租税特別措置法に位置付けられた制度です。減税等を行うことを目的とした制度になります。しかし、耐震基準適合証明書を発行するための手続きの中に、耐震診断が定められています。この耐震診断は、耐震改修促進法(正式名称:建築物の耐震改修の促進に関する法律)に位置付けられています。すなわち耐震基準適合証明書は、租税特別措置法と耐震改修促進法との二重構造になっている制度なのです。

二重構造の制度となった根拠規定は、平成17年国土交通省告示第393号と平成18年国土交通省告示第185号に定められた規定です。これらの規定により、租税特別措置法と耐震改修促進法という二つの法律がジョイントされ、耐震基準適合証明書の発行において、耐震改修法に位置付けられた耐震診断を行うことが求められています。

耐震改修促進法は、その名のとおり耐震改修工事を促進するための法律です。そして耐震診断も耐震改修工事が必要かどうかの判断をするための手法になっています。その診断結果は診断された建築物の所有者に影響します。したがって耐震改修促進法では、耐震診断を行うのは建物の所有者であることを前提として各条文が書かれており、所有者以外の人が耐震診断を行う場合については規定が存在しません。

耐震改修促進法に規定がない以上、仮に所有者以外の人が耐震診断を行ったとしても耐震改修促進法に基づく耐震診断を行ったことにはならないと判断されます。したがって建物の所有者の依頼を受けた建築士が耐震診断を行わねばなりません。

さらに重要なのが、もう一方の租税特別措置法です。実は耐震基準適合証明書の書式は、耐震改修促進法ではなく、この租税特別措置法の体系に属しています。租税特別措置法は租税法の一つであるために厳格な解釈が求められ、拡張解釈が原則として認められません。ところが耐震基準適合証明書には申請者欄があり、ここに所有者以外の者を記載できる旨の規定がないため、それを記載すると拡張解釈したものと判断されてしまいます。

このように2つの法律のいずれからも、耐震基準適合証明の申請者は建物の所有者であることが必要となってくるのです。

では、売主の方だけが所有者ということなのでしょうか。

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