なぜ減税を受けたい買主が申請できないのか?(2)

耐震基準適合証明書の申請者が売主である理由



(1)耐震基準適合証明書は二つの法律から生み出される  

(2)買主が所有者になったときにはもう遅い       


買主が所有者になったときにはもう遅い

築後20年(又は25年)超の住宅を購入して住宅ローン控除を受けるときに用いられる耐震基準適合証明書の申請者は、前ページで説明しましたように、建物の所有者であることが必要となります。

中古住宅購入時における建物の所有者は、引き渡しの前後で変わります。引き渡しまでは売主の方で、引き渡し後は買主の方になります。引き渡し後であれば、買主の方が耐震基準適合証明の申請が出来るはずだと誰もが考えます。

しかし、ここで重要なこととして、住宅ローン控除を受けるための要件の問題があります。耐震基準に適合している住宅を取得することが要件だと思っている人が多く、取得した後でも適合確認さえ出来れば減税が受けられると考えがちなのですが、耐震基準に適合していることは実は減税の要件ではありません。

減税を受けるための要件を条文から読み解いて要約すると、耐震基準に適合していることが証明された住宅を取得することが要件になっています。言い換えると、建物が適合しているかどうかではなく、証明されているかどうかが分かれ目ということです。

しかもこの証明は所定の書類で証明されている必要があります。この書類が耐震基準適合証明書です。すなわち住宅取得の時点で耐震基準適合証明書が存在していることが、住宅ローン控除を受けるための要件となっているのです。

耐震基準適合証明書には申請者を記載する欄があります。では、住宅の取得時点すなわち引き渡し時点に耐震基準適合証明書が存在したとすれば、そこには誰の名が申請者として記載できるのか。これは引き渡し前の所有者である売主の方に他なりません。

さらに別の見方をすると、耐震基準適合証明書で証明された家屋を取得することが住宅ローン控除を受ける要件なのですから、引き渡しされたのは耐震基準適合証明書と家屋とが一体になったものでなければならないということです。一体であるのなら引き渡し前の所有者も同じはず。適合証明書は申請者に対して交付されるものですから、証明書の申請者=家屋の所有者=売主という図式になります。

したがって耐震基準適合証明の申請者は売主の方であることが当然とされ、以前に国土交通省のHPにて公開されていた記入例では、申請者の欄が売主の名であることが明記されていました。

現在公開されている記入例の申請者欄に売主名と明記されていないのは、別制度の場合に対応しているためと考えられます(別制度:要耐震改修住宅を取得した場合の住宅ローン控除)。

つまり住宅取得後に買主の方が耐震改修工事を行った場合でも住宅ローン控除を受けることが可能となる制度が平成26年度に創設されており、この場合は買主の方が耐震基準適合証明を申請することが可能になっているからです(ただし引き渡し前の申請に限る)。

しかし、この場合は必ず耐震改修工事を行うことが要件となっており、引き渡し後に耐震診断を行ってみたら改修工事をしなくても耐震基準を満たしているという結果が出たとしても、それだけでは住宅ローン控除を受けることは出来ません。

耐震基準適合証明書には調査日を記入する欄もあるのですが、この場合は調査日が引き渡し後になってしまうので、耐震改修工事がなければこの点においても住宅ローン控除の対象外となってしまいます。

耐震改修工事は考えずに減税のみを目的とするならば、引き渡し前に売主の方が申請者となって耐震基準適合証明書を取得してもらうように依頼することが、やはり必要となるのです。

(注)ここでは原則的な話をしております。個別事情等により取扱が変わる場合があるので、具体的な減税の可否は管轄税務署等にご確認ください。


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(1)耐震基準適合証明書は二つの法律から生み出される  


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