耐震基準適合証明書の最大の弱点とは?

耐震基準適合証明での申請書の必要性




自分にメリットがない申請は記憶に残らない

築後20年(又は25年)になる中古住宅を購入しようとするとき、その家屋が住宅ローン控除の対象であるためには、耐震基準適合証明書等が存在する必要があります。

耐震基準適合証明書の大きな特徴の一つは、申請者が売主の方になるということです。しかし、その重要性について認識している人は少ないようです。

類似した制度のフラット35適合証明書では申請者が誰であっても構いません。ここは大きな違いなのですが、申請そのものは単に手続きの一つとして捉えている人が大半です。

しかし、証明書の書式をそれぞれ比べて見ると、フラット35適合証明書には申請者を記入する欄はなく、耐震基準適合証明書には申請者を記入する欄が設けられています。実はこちらの方が大きな違いです。

つまり、耐震基準適合証明書においては、誰が申請したかということが証明書の有効性に関わる事項だということになります。もし誰でも申請してよいのであれば、証明書の書式に申請者欄自体を設ける必要がないからです。法定の書式であり、しかもその法律が租税特別措置法であるため、書式の記入欄一つを取っても厳格な解釈が求められます。

耐震基準適合証明は、耐震改修促進法の耐震診断を行う必要があり、この耐震診断は建物の所有者が行うものとされています。したがって所有者の申請に基づいて建築士が耐震診断することにより耐震基準適合証明書を作成するという流れになっています。

もし、所有者の申請なしに建築士が耐震診断を行った場合、それは所有者が耐震診断を行ったことにならないため、住宅ローン控除に必要な耐震基準適合証明書である条件を満たさないものとなります。

物件の引き渡しまでは売主の方が所有者ですので、引き渡し時に存在する耐震基準適合証明書の申請者は売主の方でなければなりません。

また当然のことながら、実際に売主の方が申請という行為を起こさねばなりません。この申請自体は、口頭でおいても成立します。建築士は、申請があったという事実に基づいて証明書の申請者名を記載することになります。

注意が必要なのは、口頭での申請はエビデンスが弱くなるということです。例えば税務署から確認の連絡が売主の方に行った場合に、口頭だったために売主の方が忘れてしまっていて申請した記憶がないという返事をしてしまうと、適合証明書の効力が失われてしまう可能性があるのです。

売主の方にとっては、耐震基準適合証明書の取得は直接のメリットがないので、積極的な申請の動機は乏しいものです。買主の方から頼まれて申請するのがほとんどなので興味もなく、記憶に残らないことは無理のない話です。不動産売買の手続きに関する話はたいていが多忙な合間になされるので尚更です。

税務署が確定申告等で通常は審査の対象としていなくても、申請者に対する意思確認はその気になれば簡単にできるチェックであるため、耐震基準適合証明書の一番大きな弱点とも言えます。この弱点はあらかじめ補っておかねばなりません。

したがって申請にあたっては、口頭ではなく文書によって行うことがトラブル防止上不可欠になります。本研究所においても申請書として必ず提出していただくようにしています。

(注)ここでは原則的な話をしております。個別事情等により取扱が変わる場合があるので、具体的な減税の可否は管轄税務署等にご確認ください。



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